■Canon EOS M3 インプレッション・レビュー


 

3代目で変わったEOS M3

前回に引き続き、今回もカメラのレビューと雑感。
ミラーレスでは2018年現在メインで使用している「EOS M3」だ。
発売は2015年3月。
M2の後継機ではなく、上位機という位置づけだ。
過去にボディを購入し、EF-Mレンズも必要最低限の3本所有している。
まずはギャラリーから。
画像は前回の被写体であったM2と入れ替わり、再度M2で撮影してみた。
(JPEG撮って出し)
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正面から。
今回はデザインが一新した。
装着レンズは標準パンケーキの「EF-M 22mm F2 STM」。

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ポップアップストロボも付いた。
ガイドナンバーは5。

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目を惹く特徴の大きなグリップ。

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多機能モードダイヤルに加え、右肩に露出補正ダイヤルが新設。

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液晶も上180度、下45度まで傾斜可能なチルト式に。

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別売りの電子ビューファインダー「EVF-DC1」を装着した姿。

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EVF-DC1は、上90度まで傾斜可能だ。

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「EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM」と「EF-M 55-200mm F4.5-6.3 IS STM」。
径も小さく大変小型だ。

pros

 1.精悍な印象のデザイン

重量は、M2が274gに対し、M3が366gと、92gの重量増となった。
大きなグリップと、メカメカしいダイヤル、ボタン数の増加が目を惹く。
M2と比べ、明らかにホールド性が高まった。
こういったデザインは好みなので、個人的にはOKだ。

 2. 基本性能と操作性の向上

映像エンジンはDIGIC5からDIGIC6へ、有効画素数は1800万から2470万へ、AFシステムはハイブリッドCMOS AF IIから同IIIへそれぞれ進化を遂げた。
常用ISO感度やセンサーサイズは据え置きだが、高感度耐性やノイズ処理は向上している。
AF速度はM2から約3.8倍の高速化に成功しているといい、条件によっては位相差AFのみで合焦可能となった。
実際に使っていて、その進化は顕著なものだと感じているが、依然動体に関してはまだまだ苦手のようだ。
またデザインの大幅変更に伴い、操作性も大幅に向上した。
露出補正ダイヤルが独立したことにより、タッチパネルでタップしてからダイヤルで変更するといった2度手間がなくなった。
さらにモードダイヤルが4から11に細分化され、レフ機と同等のレベルで直感的なモード選択が可能になった。
マルチファンクションボタンも追加され、設定のカスタム性も高い。
個人的に大きいのがビュー関連で、液晶がチルト化し、さらに外付EVFに対応したことだ。
M2までなら諦めてシャッターチャンスを逃していたシーンでも、ハイアングル・ローアングルで積極的に撮影ができるようになった。
ポップアップストロボもガイドナンバーこそ小さいが、簡易バウンス(天井)も可能で、ないよりはあったほうが断然いい。
他にも新機能として、電子水準器やHDR撮影機能の追加など、細かな面で痒い所に手が届くようになっている。
無線通信は従来のWi-Fiに加え、新たに近距離無線のNFCにも対応したので、Androidをお使いの方には嬉しいかもしれない。

 3. EFおよびEF-Sレンズとの連携

初代Mから引き続き、EFおよびEF-Sレンズの資産を生かすことができる。
レンズ交換式カメラの醍醐味の一つであるため歓迎できる。

cons

 1. 新型番バッテリーの採用

EOS M2まではLP-E12(875mAh)というバッテリー型番で使いまわせたが、M3では新たにLP-E17(1040mAh)を採用している。
この容量差を大きいとするかは人それぞれだが、バッテリー容量としてはたかだか165mAhの差であり、ユーザーの立場からすれば、新型番を採用した意図が見えない。
また、従来では無かった互換バッテリーの使用による「バッテリー通信エラー」の症状が挙げられる。
サードパーティ製のバッテリーを使用すると、カメラの電源を入れた際にいちいち「この電池はCanon製ではありませんが使いますか?責任は取れませんが良いですか?」といった警告ダイアログが表示され、OKを押さないと使用できない。
また、その場合バッテリーの残量表示も不可である。
上記のとおり従前のバッテリー資産を生かせない点と、バッテリー通信エラーの問題は、不満点として挙げられる。

 2. リモコン端子がない

N3やE3などのリモコン端子がないので、タイマーレリーズが使えない。
夜間の天体撮影や三脚使用時など、特定の撮影状況では不便だ。

 3. レフ機の代替としてはどうか

M2の不満点としても挙げたが、AFはやはりレフ機に比べると、M3で相当よくはなったものの、シーンや動体撮影時によっては迷ったり追従性が悪かったりすることはある。
逆に言えば風景や物撮りなどでは肩を並べたと言って良いと感じている。
人によるが、細かなところで言えば、撮影後の液晶ブラックアウト時間が少し気になったりはするかもしれない。
レフ機との置き換えとするにはまだ時間がかかりそうだが、撮影対象によっては十分迫るレベルに到達している。

まとめなど

総評として、Canonミラーレス機のいったんの成熟した形であると感じた。
質感も、引き続きマグネシウム合金を使用したボディなので、高級感がある。
手に持つと、自然と撮る気にさせてくれる、私にとってそういうカメラだ。
2018年現在、ミラーレス機としてはメインで使用しており、レフ機と併用する立ち位置では特に困ったと感じたことはない。
2017年に後継機とされるM6が発売され、M3はディスコンとなったが、動き物をあまり撮らない私の用途では十分だ。
では今回はこの辺で。

Written on August 17, 2018